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このむ 加賀谷武明氏

2016.9.6 卒業生に訊く

このむ 代表 加賀谷武明氏

視力を失い、逆境に立たされたとき再確認した
商人魂、仲間、人脈、そしてベイシックスイズム!

略 歴

このむ 代表 加賀谷武明氏
http://www.konomu.com

1971年群馬県生まれ

高校卒業後「京都銀閣寺 名代おめん」に就職。
京都に3年半、ニューヨーク店に1年半勤務後あらてめて一から料理の基礎を学ぼうと上京し調理師学校に入学。
24歳の時にベイシックス入社

表参道店店長、西麻布店店長を歴任

2001年6月白金に「創作料理 このむ」を開業。
現在、群馬の地粉にこだわった麺料理専門店「白金荘製麺所」と2店舗を運営

職人としての常識やセオリーも吹っ飛ばされるような衝撃

質問:まずはベイシックに入社するまでの経緯を教えて下さい

私は群馬県太田市の出身なんですが、高校の先輩が創業50年になるうどんと和食のお店を京都銀閣でされていて、そちらに高校卒業後入社しました。

私は実家がいわゆる街の食堂を営んでいたので、自然な流れで飲食業に入っていった感じでした。

そちらで料理の基礎をじっくり学ばせていただき、3年半の京都店の勤務の後、1年半のニューヨーク店での勤務も経験させていただきました。
本当にありがたい経験でした。

その後もっと幅広く料理の知識を付けたい、色々な業態のお店も経験したいという思いから上京し調理師学校に入りました。

その調理師学校時代に西荻窪にアパートを借りてたんです。
そのアパートの近くに料理評論家の山本益博さんや、小林カツ代さんも通っていたというJTスパイスさん(現在は閉店されています)というカレーが有名な多国籍レストランがあって、そのお店の虜になって通い詰めていたんです。

マスターやママさんとも仲良くなって、いろいろと相談話しなども聞いてもらってたんです。
私としては卒業後はそちらに入らせてもらおう、まず断られる事はないだろうと勝手に決めていました(笑)

そしていざ調理師学校の卒業という時にそこのマスターに入社のお願いをしたら、人手は足りているのでという事であっさりと断られてしまったのです(涙)

まさかの出来事だったのですが、そのマスターに「駅の向こう側にてやん亭゛て言ういいお店があるから行ってみなよ」と言われたんです。
「オーナーさんもスタッフさんもみんないい人だし、将来お店を持ちたいのなら勉強になるかもよ」という事で行ってみたのがベイシックスとの出会いです。

初めて行った時のことは忘れもしません。まさに衝撃的でした。

左シコタ氏、中加賀谷氏、右コージ氏
左シコタ氏、中加賀谷氏、右コージ氏

「牛スジのアラビアータ バケット添え」というメニューがありまして、それを注文したらどうやらバケットを切らしていたみたいで残念と思ったら、
その頃はカウンターに立っていたガンさん(ベイシックスオーナー)が、「ちょっと待ってね」と言うと、コージさん( NISHOGONGO現代表)に「コンビニでパン買ってきて」というなり、すぐにパンを買いに走ってくれ、熱々のアラビアータにトーストしたバケットを添えて提供してくれました。

それまで専門店、どちらかというと職人の世界にいた私には「これが本当のサービスだな!」とすごくショッキングだったんです。

嬉しくて、美味しかったです!

そして出てくる料理も所謂創作料理なのですが、料理のセオリーを覆すような料理バカリで、まさに衝撃的だったんです。

なお且つ、カウンターの中はライブハウスのステージの様で、お客さんと楽しそうに話しながら働く姿を見て、よしここで雇ってもらおうと決心しました。

職人から商人へ。自由と厳しさ。

質問:入ってみて今までの世界とは違いましたか?

入社して1年ほどして表参道店がオープンする事になり、光栄にも店長として働くことになりました。

その時期、1995年当時と言えばそれまで隆盛を誇ってた「大皿総菜居酒屋」もそろそろ飽きられて、よりクオリティーの高い専門性の高い料理が少しづつ好まれるようになっていました。

「料理の鉄人」などのテレビ番組の影響もあり、消費者が本物を好むようになり、居酒屋だからという言い訳も成り立たたなくなってきた時期だと思います。

そんな時流を察知してガンさんはスタッフとともに頻繁に、東京はもとより全国の繁盛店や、ご当地料理の視察に出向いていました。そして取り入れられそうなものがあれば、どんどんチャレンジしていました。
まさに北から南、北海道から沖縄までいろんな所に連れて行ってもらいました。

その頃は買い出しもお店毎にスタッフが直接行っていたので、本当に自由にチャレンジさせてもらいました。

自分たちで市場調査して→創作して→オープンキッチンでお客様のダイレクトなレスポンスを頂く

これは最高に楽しい事です。

任せてもらい、自由にチャレンジさせてもらえる。
これは経営者となった今考えても、なかなか出来るものではありません。

ただガンさんが首尾一貫して言われてたのは、俺たちは「商人」であり「職人」ではないという事でした。

これって実は奥が深くて、
需要に即しているのか?自分良がりになっていないか?楽しみ楽しませる事は忘れていないか?そして利益は出るのか?

そんな意味も含まれているんです。
厳しいハードルも設定されているという事です。

まさに職人気質だった自分に、商人としての基礎を叩き込んでいただきました。

創作料理 このむ

独立店の創作料理このむのファサード

質問:開業後のお話を聞かせてください。

その後、西麻布店店長を務めた後に2001年6月に白金に「創作料理 このむ」を独立開業しました。
白金に特に地縁や理由があった訳ではなかったのですが、諸先輩方のお店もありませんでしたし、一工夫加えた創作料理を気取らないけどオシャレな空間で楽しんでいただきたい、というコンセプトにぴったりな街だと思い出店しました。

独立後しばらくは順調に売り上げも伸び、2008年には麻布十番に「群馬料理 このむ」も出店しました。

しかし、この頃から少しづつ売り上げの低下、人出不足など厳しい問題が持ち上がって来ていました。

難病を発症し売り上げも激減。その時に再認識したベイシックスイズム!

そんな中2011年、私はレーベル病という難病を発症してしまいました。

遺伝子異常の病気で、発症後約半年で1.5あった視力は0.01にまで低下してしまいました。
立派な視覚障害者です。

不便どころか通常の生活すら出来ないレベルになってしまいました。

しかし意外と落ち込んだり、自暴自棄になったりもありませんでした。
というか潰れそうな2号店と生まれたばかりの息子をかかえて、落ち込む暇もなかったと言うのが事実かもしれません。(笑)

反対に逆境に追い込まれた事で、
いろいろな事を決心できたり、気づかされたり、基本を思い出したり出来ました。

自分が今やれることをやろうと決心しました。
自分たちで考え、挑戦し、協力し合うという組織を自分は作れていなかった事に気付きました。
ベイシックスで教わって来た「店づくりは人づくり」という基本を思い出しました。

この病を機に基本、ベイシックスイズムを再確認し目の前の事から一つづつ取り組んでいくことが出来ました。
災い転じて福となる!

でもやっぱり、可愛いい女の子が見れなくなったのは悲しいですけどね(笑)

このむ加賀谷武明

質問:ベイシックスの後輩、そして今から飲食業を目指す若者達へアドバイスをください。

難病を患って以後、結局2号店は閉店したのですが、その後1号店の立て直しも順調に進み、去年(2015年)は創業15年目して最高売り上げを達成しました。

そして製麺のスペース確保の為に借りた物件もランチ営業のみで麺料理専門店白金荘製麺所として開店いたしました。

この時も先輩のシコタさん(現 ダディーフィンガー代表)が目の見えない私に変わって壁紙や、塗装、内装関係のディテールも決めてくれました(笑)
ホントにありがたかったです。

卒業してもこうやって助け合い、切磋琢磨し合い、仲間意識が強い!これがベイシックスだと思います。

そしてもう一つ、ベイシックスで勉強するメリットとは何?と言われれば、先のシコタさんのインタビューにも話されていたように商人としてのノウハウを得れる事がもっとも大きな事だと思いますが、こんな仲間を得られた事、そして多くの人脈に巡り会えた事も他ではあり得ない事だと思います。

飲食店経営にとって経営者同士の情報交換や、経験談を聞けるのは非常に大きなメリットです。

現役時代からガンさんは日本中の諸先輩経営者さん、それも業界では有名な経営者さんにお見知り置きいただく機会を作ってくれました。

北は札幌の味乃じゃんぼの梶田さんから、名古屋のゼットン稲本さん、大阪の元気ファクトリー今吉さん、博多の八兵衛八島さんまで、こんなそうそうたる偉大な経営者さん達のお話を聞けるのはベイシックスにいたからに他なりません。

これは大きな財産となっています。

是非、このようなメリットをフル活用して目標に突き進んでください。

そして、視力を失い障害者となった今でも私は毎日お店に立ち、料理の開発や、サービスの向上のためにスタッフと共に格闘しています。

基礎を学び、信念を持ち、そして楽しさを分かっているから続けてこれたし、これからも続けて行きます。

飲食業は本当に魅力的な仕事です。

また一緒にゆっくり飲みましょう!

加賀谷 武明氏のお店のご紹介

創作料理 このむ

このむ内観

今や白金と言えば「このむ」。オシャレな店舗デザインは白金の街にすっかり溶け込んでいます。そしてセンス抜群の創作料理をどうぞ。

〒108-0072東京都港区白金2-1-5 MAP
TEL 03-6408-0744
http://tabelog.com/tokyo/A1316/A131602/13010457/

白金荘製麺所

白金荘製麺所のカレーうどん

まずはこのカレーうどんを喰ってみてください!うまい、うま過ぎる(笑)その他うどん、中華麺、混ぜそばなど、群馬の地粉にこだわった美味しい麺料理が楽しめますよ。

〒108-0072東京都港区白金3-9-7 MAP
TEL 03-6455-6887
http://tabelog.com/tokyo/A1316/A131602/13190365/

2016/9/6 9:00 卒業生に訊く