てやん亭゛・ジョウモン・ミートマン・バードマン・ごりょんさん・成吉思男(ジンギスマン)・oh 釜 barの株式会社ベイシックス オフィシャルサイト

第5章 西麻布店オープン そして東京居酒屋No.1へ…

2016.12.20 BASICSヒストリー

その物件は西麻布の交差点から青山の根津美術館に向かう細い道の住宅街の一角に建つ木造二階建ての一軒家でした。

https://teyandei.com/?page_id=24

築数十年は経つであろうその物件を見た瞬間
私は3秒で決断してしまうのですが
周囲の人の反応は様々でありました…

何せ西麻布とはいえ
飲食店が軒を連ねる交差点からは程遠い住宅街の一角

御存知西麻布には駅は無いので
最寄りの駅からは徒歩で数十分は余裕でかかるし
人通りなんて全く無い

そんな場所に居酒屋を造ろうとした訳ですから
周囲の人から見れば「アイツ気でも狂ったか!?」ぐらいには思われていたに違いありません(^^;;

それでも僕は
何の根拠も無いのに
何か妙な自信みたいなモノを感じていたのです。

そこで当時僕の右腕だったシコタに現地に来てもらい
西麻布の物件を見せてみたのです

すると彼の口からは意外な言葉が飛び出しました

「ガンさん…この物件で居酒屋をやったら凄い事になりますね…」

と、シコタは一言だけ僕に言いました。。。

その時の彼の言葉が
そこに出来るであろう居酒屋の未来を
どう予言して
何をどう予感したのかは良くわからなかったけど
そう言ってくれた彼の言葉に僕自身後押しされて「絶対にこの物件で居酒屋をやってやる」
そう心に決めたのでした…

物件の申し込みを入れて
海軍出身の大家さんと面談致しました

既に数社から申し込みが入っていたらしいですが
私が申し込みを1番最初に入れた
との理由で大家さんの了承を得て契約

いよいよ着工となりました。

図面の作成に取り掛かる最中
デザイナーでもあるスタジオムーンのBOSS金子氏が僕に言いました「看板はどの様に出しましょうか?」

その問いに僕は悩まず即答しました

「看板なんて必要ありません」と…

「えっ⁈」という表情をする金子氏に僕は続けました

「人通りが無いから看板なんて意味無いって」

「………」金子氏は少し戸惑いながらも
首を大きく縦に振りながら大納得してくれました。

これが西麻布の「看板の無い一軒家居酒屋」の誕生する瞬間でした^_^

順調に工事が進む中
僕の心の中にはある決意が固まっておりました

それは全てのメディアの取材を一切御断りするという事。

僕は何となく西麻布という場所柄
メディアの飛び付きが早い様な気がしてならず
もし雑誌やテレビでお店を取り上げられたら…?

そんな事を頭の中で想定したのです。

テレビだの雑誌だのに取り上げられたら間違い無く御客様は来るに決まってる

しかしそんな事でお店が満席になって一体スタッフたちには何の為になるというのだろうか???

僕は
僕自身が
あの西荻窪の地下でもがき苦しんで

それでも諦めず
せっかくこんな地下のお店に来て下さった御客様に
何とか喜んで帰って頂きたい!!!

そう必死に思いながら営業していた気持ち

そして
その来て下さった御客様が
又リピートして下さった時の感激と感動…

それをスタッフ達にも身を持って味わってもらいたかったのです。

御客様を呼ぶのはメディアじゃ無い

御客様を呼ぶのはお前達自身なんだ

お前達の『心を込めたおもてなし』のサービスで意地でも御客様をリピートさせて
このお店を繁盛店に育てて欲しい

そんな事を彼等には言い聞かせ
西麻布の『てやん亭” おも家』はオープン致しました。

案の定
開店しても御客様は来るに至りませんでした…

毎日、毎日、暇な日々を過ごしました

それでも「元気出して行こうぜ!元気出して!」

だって元気だけが俺たちの取り柄なんだから、、、

そんなある時、僕は外出先から西麻布のお店に電話を入れたのです。

すると電話に出た店長が
蚊の鳴くような声で「てやん亭” 西麻布です…」と対応したのです

すぐ様「オレだよオレ!何でそんな小声で電話に出るんだ?」と尋ねると
休憩中で他のスタッフが寝ていてて
起こしたら悪いからです
と、答えが帰って来たのです。

私は愕然として
すぐにお店に行きました

オレは何だこのザマは!と、怒鳴りました、、、

そして
その日のお通しは手抜き満載の冷凍の枝豆でした…

このままだとヤバい…

そう思って
何で西麻布に看板の無い居酒屋をやったのか?
その意味は何だったのかを
スタッフ達…
特に当時店長だったシコタととことん話合いました。

このお店に来るに至るまでの御客様の気持ちを想像してくれ、

このお店に来るに至るまでの御客様の気持ちになって考えてみてくれ、

俺たちが何でメディアの取材を一切断っている事の意味を今一度理解してくれ…

俺の理由はこうだ

例えばの話がだよ

ある男性が
西麻布に良い店を見つけたと思って下さり
その時付き合っている彼女や
これから彼女にしたいと思っている女性に自慢したくて、あの駅から遠い道のりを歩いて来てくれる訳で
それがもしですよ
メディアとか見てて最初からウチのお店を知ってる娘だったら
その彼は自慢にも何にもならんもんね

というアホみたいな理由でした(笑)

そんなアホみたいな理由をシコタたちスタッフも何と無く理解してくれる様になりました(^^;;

このお店では僕自身も二階のホールを担当しました。

キッチンが一階にあるため
二階のホール担当は『ただの(料理)運び屋』だけにはなるな!!!

それが僕の口癖でした。

二階の御客様は団体が多かったので
温かい料理は温かいうちに
冷たい料理は今のうちに
また、温かい料理が冷めたら温め直したり
遅れて来た御客様には
再度盛り付け直して提供してあげたり

そんな『おもてなし』の接近を心がけました。

『ローマは1日にして成らず』

という名言がある様に

『繁盛店も1日にして成らず』

だと僕は思っております。。。

テレビや雑誌でド派手に取り上げられたお店程

消えていくのも早い様な気がしてね…(・_・;

だから
お店も、スタッフも、じっくりと育ててみたかったのです。

そして『息の長い店』づくり…

その為には

お店にもスタッフにも苦労をさせたかったのです。

メディアに露出して何の苦労もせずにお店が簡単に繁盛しちゃったらスタッフもお店も僕は育たないと勝手に思ったのです。

だからあえて看板も出さず
メディアに露出もさせず
西麻布のお店には茨の道を歩いてもらった訳です。

それが僕の西麻布店に対する
お店とスタッフへの『想い』だったのです。。。

そしてスタッフ達の努力もやっとこさ実り西麻布店は繁盛店へと成長して行くのでした…

そして
この西麻布店の未来をある意味『予言』した
あのシコタの言葉通り
このお店にとって『凄い事』が本当に起こってしまったのです。

それがイギリスの高級誌『ガーディアン紙』が選ぶ『東京居酒屋TOP10』の1位に『てやん亭”』西麻布店が選ばれてしまったのです!!!

続く…

2016/12/20 14:06 BASICSヒストリー